マイルス・デイビスの写真で知られる内藤忠行が30年前に発表した桜シリーズのなかで「蜘蛛」と言われている作品。桜の木をネガフイルムで撮影し、ネガ、ポジ反転して繰り返し印画紙に現像。全てアナログで制作している。ベースの銀箔に万華鏡のように写真を組み合わせ、着物の形(T字)に貼り込む。遠目で観ると蜘蛛のような枝のパターンが現れる。内藤曰く、「坂口安吾の小説にある桜の持つ妖艶で幻想的な世界観を表現した」
内藤忠行は、1941年東京、浅草生まれ。
1964年に東京デザイナーズ学院写真科を卒業、単身NYに渡り、ジャズミュージシャンを撮り始める。
マイルス・ディビスと出会いから、自身の表現に磨きをかける。
1974年からジャズへの傾倒からそのルーツであるアフリカを精力的に撮り始める。
1980年後半より、日本文化に回帰し、「桜」「庭園」「蓮」等を撮り、内藤独自の世界を創り出している。
2005年、スワミナサン財団によるプロジェクトの一環、「モダン・マスターズ・ オブ・フォトグラファー/ジャパン」の12人の写真家の一人に選出される。